かいちょーノオト
かいちょーと旦那と飼い猫・ミケさんの素っ頓狂な日々。
三毛猫放浪記(後編)
スーパーのスタッフさんの目撃情報では
だいたいお昼過ぎ、2~3時ごろに
裏通りを挟んだ民家の辺りを歩いていると聞いていた

ならば11時頃に着くように出かけて2時間ほど周辺を探し
だいたい1時半くらいから2時間程度
そのお宅の周辺で張込みすれば保護できるかもしれない。
最悪、当日は保護できなかったとしても
せめてお気に入りのドライフードくらい、たらふく食わせてやりたい。

そんなざっくりした捜査方針を決め、用意した装備は

6tool.gif


通院用の洗濯ネットに、お気に入りのブランケット
大好きな「銀のスプーン・お魚づくし」と犬猫用チーズ
いつも使っていたエサ皿と小型犬用抱っこバッグ。
チーズはいつも食べていた大きさに切り分け
タッパーに多めに入れて持って行くコトにした



スーパーのスタッフさん達に労られつつ
捜索を開始してからずいぶん経っていた
真上にあったお日さまが今はだいぶ傾いて、日差しも幾分和らいでいる
腕時計に目をやると午後3時40分
目撃情報の時間をかなり過ぎている。

なのにあの長くて黒っぽいしっぽの先すら、見つけられないでいた。



晩ご飯や翌日のお弁当の支度を考えると
捜索を続行できるのはあと1時間ほど
・・・そんなコトを考えて焦りを募らせていたら、不意にケータイが震える
「見つかった?」というメールの主は旦那だ

泣きそうになりながら
見かけもしない、あと1時間くらい探して帰る、と返信したら
すぐに返事が返ってきた

「もう少し居てみな」



・・・一瞬にしてすっ、と冷静になる。
旦那の前ではなるべく泣かないように気をつけていた。
なるべく「また一緒に暮らせる日がくる」と
信じ切っているフリをし続けていたつもりだった。

けれどワタシはもともと、感情が表に出やすい性格だ。
一緒に暮らしている旦那ならなおのこと
それが目についていたに違いない。

これ以上、旦那の人のよさに甘えちゃイカン。
今働いてないワケだし、少なくとも家のコトはちゃんとしなくちゃ。



これまで日中に出歩いて追っかけられたコトで学習して
明るいうちはミケさんも、表に出てこないかもしれない。
恐らく薄暗くなる頃まではどうにもならないだろう。
7時くらいまで探して見つからなかったら出直そう。
新幹線で掛川まで30分程度だから
7時過ぎのヤツに乗ればなんとかなる、いやなんとかしよう。

ゲンキンなモノで、そう決めたら肚が据わってしまった
一旦休もうじゃないの、と近所の自販機で缶コーヒーを買い
元の住まいの玄関先に腰かけて休憩するコトにする



ぼんやりと腰かけてコーヒーをすすりつつ
辺りの景色を眺めていて気づいた
そうか、これってまだ保護する前
ワタシの帰宅を待っていたミケさんの目線なんだ。
そうそう、あの女の人の歩いてくる辺り
ゴミ捨て場の脇の柿の木の陰からワタシの姿が見えたら
箱座りからすっと立ち上がって
「おかえり」って言うみたいにニャーニャー鳴いて・・・



「あれ? かいちょーさん?」
突然声をかけられてひっくり返りそうになる
声の主は元の住まいの上のフロアの奥様だ
ちょうどパートから戻ってこられたらしい

どうしたんですか? 私の留守中にお引越しのご挨拶にみえたって
主人から聞いてたんですけど・・・と丁寧な口調で尋ねられ
いえ、実は引越のドサクサで猫が失踪しまして、と答える

「まぁ! あの病気で保護してるっておっしゃってた猫ちゃんですか?」
「そうなんです、主人の転勤に乗じて
 この際正式にうちの子に迎えようってコトになりまして
 新居もペット可の住まいに決めたんですが・・・」

あと少し探して見つからなかったら出直そうと思って、と話すと
ちょっと待っていらして、と言って家に入り、また出て来られて
「うちにあるモノで申し訳ないんですけど
 よかったらこれ食べて、もうひとがんばりして下さい」
・・・手渡されたのは箱入りのアーモンドチョコレートだ

いえ、お気持ちだけありがたく、と丁重にお断りしようとして
朝ご飯以来何も食べていなかったコトに気づき、苦笑する
自分のコトすら大事にできない人間が
人間であれ動物であれ他の命を大切にできるなんて、とんだ思い上がりだ。



すみません、ありがたく頂きます、と答えると
奥様はほっこりとした笑顔で
「もし今日保護できなかったらひと声かけて下さいね
 次においでになる前にうちで保護できたらお預かりしてますから」

通い猫だった頃から私達も知ってる猫ちゃんだし、と言われ
不覚にも泣きそうになる
お心遣いに感謝して立ち上がり・・・さて、もう1度探しましょうか。

ずいぶん長話してしまった
さっきのルートをもう1度ぐるりと回ったら
ほとんど時間は残ってないな・・・って、あれ?



スーパーのスタッフさんが「よく見かける」とおっしゃっていた場所を
よく見慣れた三毛柄の猫が歩いていた
最後に見た姿よりずいぶんやつれて、白い毛が黒ずんでいるけれど
まちがいなく、ミケさんだった。

ミケさん!と大声で呼びかけたら、ぴくりと立ち止まる
走っちゃダメだ、追われるのとカン違いして逃げてしまう
・・・そう思ってみても、はやる気持ちで自然と早足になる
歩きながらバッグからタッパーを取り出し
「ミケさん、チーズだよ」と何度も言いながら近づいた



ところが現実は決して甘くないものだ
一瞬、聞き慣れた魅力的な単語に興味深そうな眼差しを向けたものの
ミケさんはさっときびすを返し、民家の軒下に隠れてしまった

・・・保護できないかもしれないがそれでも構わない。
生きてさえいてくれればそれでいい。
ただ、せめてその痩せた体の一部を取り戻す程度には
何か食べさせてやれないものか。

細かいコトを考えている余裕はなかった
ミケさんが忍び込んだお宅の玄関先でチャイムを鳴らし
事情を説明して敷地に入らせて貰う



軒下からひょっこりのぞかせた顔には
すっかり怯え切った表情が浮かんでいた
耳に刺さるようなか細い声は、子猫に特有の助けを求める時の声だ
ミケさん、チーズ食べない?と尋ねるのに鳴き連ねるその声は
「もうお前とは暮らしたくない」という拒絶のようでもあり
「怖かったよ、なんで今まで迎えにきてくれなかったの」という
切実な訴えのようにも聞こえた

差し出したチーズを嗅ぐコトすらしない怯えように
ひょっとしたらワタシが手に持っているのがよくないのか、と
軒下に放ってやったらようやく体半分だけ姿を現す

小さなチーズのかけらをガツガツと食べる姿に
その小さな体で数日間イヤという程感じていたであろう
空腹感や心細さが伝わってくるようで泣けてきた
涙を拭いつつ、慌てて皿とドライフードをバッグから取り出し
ザラザラと入れてやると、それが耳慣れたおいしい音だと気づいたらしい
おそるおそる近づいて、危害を加えられないコトを察した様子で
皿に鼻先を突っ込むようにして
これまで見たコトもないような勢いで食べ始めた



ほとんど皿が空っぽになり、立ち去るそぶりを見せた一瞬の隙に
両前足をなるべく痛くないよう掴んで引き寄せ、洗濯用ネットを被せると
瞬間、飼い猫だったとは思えない野生動物のような声をあげ
マグロ漁かと思うような暴れっぷりを発揮する
何度も深々と爪を立てられて、その度にひるんだが
こんな傷のひとつやふたつ、今のミケさんの不安な気持ちと比べたら
痛くも痒くもねぇや!どーんとつけやがれ!てやんでぇ!と
半ば居直るように気持ちを奮い立たせた
きっと端から見たらものすごく滑稽だろうな、と思いつつ
反面、こんな手荒な捕まえ方をして逃がしてしまったら
もう二度と捕まえられないだろう、と気弱な考えも脳裏をよぎる

ようやくファスナーを閉め、ブランケットでくるんでやると
観念したものか、すっかりおとなしくなった
抱っこバッグに入れられるのも、思ったほどには大変じゃなかった
家主さんにお礼を言って、ご挨拶もそこそこに駅に向かい
手荷物の手続きを済ませて新幹線に飛び乗る

syachu.gif


心配していた新幹線車内の騒音にも暴れ出したりはしなかった
ただ洗濯ネットの中でじっと目を閉じて
時折ワタシの顔を見上げては心細そうに、小さな声で鳴いていた
その度に「ごめんね、怖い思いさせてごめんね」と声をかけ続けた
連れ帰って数時間はずっと、こちらの様子を伺っているものの
スチール棚の下に潜り込んで出てきてくれない状態だった

それでも、元の住まいで指定席だった毛布の匂いに
少しだけ気を許したのかもしれない
やがて頭だけ出し、次いで半身だけ姿をのぞかせ
毛布の上ですやすやと寝息を立て始めるまで2時間近く経っていた

こうしてミケさんの長い長い冒険が終わった。

nesugata.gif


今回の事件にまつわる数値的データ一覧。
「ミケさんの不在日数/5日半
 その間にかいちょーが減らした体重/3kg
 ミケさんを探しまわった時間/8時間
 ミケさんと過ごせる時間/プライスレス!」 >親バカ日記らしい締めくくり(笑)


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テーマ:猫のいる生活 - ジャンル:ペット

【2008/06/18 22:01】 | かいちょー的日常 | トラックバック(0) | コメント(4) |
<<災難ハ依然継続中ナリ。 | ホーム | 三毛猫放浪記(前編)>>
コメント
読んでて涙でてきちゃいました(TT)
本当に、また一緒になれてよかった!!

これ、すごくラッキーな例だと思います。
周囲の親切な方たち、
引っ越し先が、遠いながらもまた来れる距離だったこと、
などなど・・・。
いろんな要因がからまって、
また、ミケさんとかいちょーさんたちをつないでくれたんだと思います。

減った体重は戻るけど(あ、失礼!)、
ミケさんはミケさんだけですもんね!
マジ、プライスレスだよー!!

ほんとによかったー!!!(^^)/
【2008/06/19 21:50】 URL | がるまあ #-[ 編集]
> がるまあさま

そうそう、ものすごいラッキーだったんですよね☆
もともとにゃんこは群れで生活する性質を持たないせいもあるけど
一旦迷子になると戻ってくる確率が著しく低いといいますし・・・

ミケさんを保護したばかりの頃
今回退職した職場でそのハナシをすると、みな一様に
「病気でしかも片目潰れた猫なんてどうして(保護したの)?」と尋ねる中
元の上司だけがひとり「そんな猫でも保護しようと決めたのは
 きっとかいちょーとその猫は前世からの縁があるからなんだろうね」とおっしゃって下さって。

その時は「えへへ♪またまたぁ♪」と笑ったけれど
ホントにそうだといいな、って今は思います☆

でも、周囲の方のオチカラをお借りできなかったら
ぷっつり切れててもおかしくないご縁だったのかもしれないし
そこは素直に感謝しなくては!ですね (^ ^)

とりあえず次回転勤になる時には
引越当日はちゃんとペットホテルに預けようと思います(笑)
【2008/06/20 18:25】 URL | かいちょー #-[ 編集]
ミケさんは富士から離れたくなかったのかな?
それとも、突然騒々しくなったから家出したくなったのか・・・

いずれにしても無事に戻ってきて良かったね(^^)
【2008/06/20 21:40】 URL | じゅん@Tiger #-[ 編集]
> じゅんちゃん

うーん・・・たぶんどっちも、なのかな。
旧住まいの界隈には土地勘もあっただろうし
「しばらくはノラせいかつでもだいじぶでつ」と思ってたのかも。

人間にとってすら転勤って、冷静に考えたら理不尽なコトだもの
にゃんこならなおさらだよね
理不尽な思いをさせてしまう分
いっぱい幸せにしてあげないとな、なんて思っとります、ハイ (^ ^;
【2008/07/08 13:14】 URL | かいちょー #-[ 編集]
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プロフィール

かいちょー@ミケ母

Author:かいちょー@ミケ母
☆かいちょー☆
 自称「暴れん坊将軍」
 他称「将軍様ご乱心」な暴走主婦。
☆旦那☆
 かいちょーの旦那。
 職場では「頼りになる上司」だが
 実はかるーく天然ボケ。
☆ミケさん☆
 病気でヨレヨレだったトコロを
 かいちょー夫妻に保護され
 そのまま娘に。
 おやつの取立てがやたらシビア。
 犬猫用チーズが大好物。

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